インタビュー

修士課程卒業生仲良し対談
「国際会議も卓球も、熱くなれ!!」

大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻
博士前期課程2年 

柏原 優香(宇山研)
斉藤 加奈子(鳶巣研)

3月24日大阪城ホールで大阪大学大学院の学位記授与式が行われました。阪大入学以来、研究室が違ってもずっと仲良しだったという博士前期課程卒業生のお二人に、工学部ギャラリーでお話をうかがいました。

左から柏原さん、斉藤さん

応用化学に進んだきっかけは?

柏原■
大学に入るまでは、実は化学よりも物理の方が好きだったのです。応用自然科学科に入学して、1年のときに化学と物理と生物の授業を受けて、化学が一番面白そうだなと感じました。実験が楽しかったのもありますし、身の回りのもの全てが分子や原子であらわせるというところに興味が湧きました。

斉藤■
私も一緒なのですが・・もともと物理が得意で入試も物理の点で入れたようなもので化学では全然点が取れませんでした。1年の終わりに「応用化学」を選んだときには、親からも「ほんまにエエんか??」と言われたぐらいでしたから(笑)。
なんといっても化学の実験が面白かったのです。物質の色が変わったり、綺麗な結晶ができたり、目に見える変化が楽しくて化学にハマりました。

ご自身の修士論文のテーマについてご紹介ください。

斉藤■
「ニッケル触媒を用いた炭素ー炭素結合の切断を経る縮環トロポンの環縮小反応」
トロポンというのは7員環の構造を持っていて、それを反応させてベンゼンのような6員環がつながっている構造をつくることができたら、有機ELとかの材料に使うことができます。これが私の修論の最終目標で、7員環構造から6員環構造に変換するには、通常ではいくつかの行程が必要なのを、一気に変換しようという研究です。結合の中でも一番キツいC−C結合を切らないといけないので大変なんです・・・。
研究室で「なんかC−C結合が切れてるな・・」という偶然の実験結果がきっかけになって、私の修論テーマは立ち上がりました。偶然ですね(笑)。
鳶巣研の研究テーマはC−H結合を切ったり、C−Cを切ろうとしたり、応用を考えるよりも化学の基礎の基礎を掘り下げていくような研究です。

柏原■
「ハイドロゲル表面におけるリンクル構造のダイナミクス」
私が在籍していた宇山研は鳶巣研とは違って、社会実装に近い領域での研究を行なっていました。私の修論での研究対象はハイドロゲル。ソフトコンタクトレンズの材料に使われているような、水分の多い柔らかい材料です。その表面に電気泳動という現象で「シワ構造」をつくるという、非常にマニアックな研究をしていました。
具体的には、細胞培養の培地として使われているハイドロゲルの表面にシワをつくり、動かす研究です。シワを自由に動かせたら、ピンセットなどの硬いものでつままなくても細胞を動かすことが可能になります。ベルトコンベアみたいに、培地上の細胞を傷つけずに動かすことができるようになるはずです。そんな生物工学寄りの応用を目指した研究です。

修論発表と提出を終えた感想は?

柏原■
やっと終わったという安心感と、やり終えたぞ!という達成感が半々でしょうか。

斉藤■
いや〜なかなか難しい研究だったなと・・・結構ヘトヘトになりました。

柏原■
ハイドロゲルのシワという、私の研究が珍しいテーマだったので、修論発表では「そもそもこの研究ってどういうこと?」「どうしてシワができるの?」といった基本的な想定内の質問が多くて助かりました。

斉藤■
私の発表は鳶巣先生の研究のど真ん中みたいなテーマだったので、反応機構やC-H結合の活性化に関する研究をされている、茶谷研や生越研の先生方からはガンガン質問が飛んできましたね。発表が終わる前に、もう手を挙げてる先生いたり(笑)。
鳶巣研の学生は修論発表に備えて、学生スライド検討会という場で博士後期課程の先輩に鍛えてもらっていたので、「この質問、聞いたことあるな」みたいな感じで対応できました。先輩方に感謝です。

研究室生活での一番の思い出は?

斉藤■
鳶巣研は研究に熱心なだけでなく、秋に開催される吹田祭にめちゃくちゃ力を入れます。鳶巣先生が卓球の名手で、誰よりも卓球愛が強いのです(笑)。なので、吹田祭の期間になると、冗談抜きで、特訓が始まります。去年は3位だったので、今年はそれ以上を目指して特訓の内容も濃くなるはずです。私は応援専門だったのですが、毎年このイベントには力を注いでいました。この期間だけは、研究よりも卓球優先です(笑)。

※阪大工学研究科の有志研究室全てで争う50年の歴史を誇る大スポーツ大会。種目はソフトボール、テニス、卓球、サッカーなど。

鳶巣研の吹田祭卓球第3位表彰状
院試明けB4慰労会前の花火

柏原■
オンラインだったのですが、環太平洋国際化学会議(Pacifichem)という国際学会でポスター発表したことが非常に印象に残っています。宇山研は留学生が多いので、事前に留学生に鍛えてもらったおかげで、発表もスムーズにできてすごく楽しかったです。
M2の最後に参加した高分子学会の高分子ゲル研究討論会で、「最優秀ポスター賞」を受賞できたことも嬉しかったですね。

高分子ゲル研究討論会「最優秀ポスター賞」
留学生たちとお花見
留学生たちと一緒にレゴランドへ

就活や進路についてご紹介ください。

斉藤■
M1の冬にはインターンシップに参加していましたが、新型コロナ感染症の影響でオンラインで2日間の内容でした。実際の就活はM1の終わりの3月頃から始めて、M2の5月頃には化学品メーカーに決まりました。私は大学推薦を利用しました。

柏原■
ガラス・化学品関連のメーカーに就職します。私もM1の3月中旬から修士院生の早期選考への応募を始めましたが、実際には2月の初旬から始まっていたみたいです。インターンシップの参加者が早期選考へ参加できるシステムでしたね。私はM1の夏から10社ぐらいオンラインのインターンシップに参加して、その中から気に入った会社の早期選考に乗った感じです。
大学推薦は使いませんでした。

斉藤■
阪大は就活では強かったですね。友人達もほとんどが、知名度の高い企業に就職してます。

柏原■
就活では、阪大ブランドは値打ちがありますよ!

応用化学専攻の印象は?

斉藤■
研究設備はすごく充実していると感じます。

柏原■
確かに!!就活で知り合った他大学の学生さんと話をすると、設備の違いに驚かされます。

斉藤■
分析装置とかの揃いがすごくて、X線構造解析もできますし。

柏原■
意識が高くて熱心な学生が多くて、研究しようと思えばいくらでもできる環境ですね。

斉藤■
そうそう!好きなだけ研究ができるんですよ。実験に没頭しても。「あの人研究ばっかやってる・・」とか言われることはなくて、なんなら、「もっと頑張れ!」みたいな(笑)ポジティブな雰囲気が素敵です。

柏原■
私も研究が好きだったので最高の環境でした。他の大学とはひと味違いますね。

では今後の抱負、やりたいことをお聞かせください。

柏原■
料理をつくったりしたいです!大学院では研究室にいる時間が長くて、両親や祖母に甘えていましたが、社会人になったら生活力を身につけて、仕事と家事の両立を目指したいです。社会人になって時間ができたら、「何をしたらいいんだろう?」という気持ちもありますね(笑)。

斉藤■
私も自分磨きをしたいですね。時間ができるでしょうからスポーツジムに通ったり、料理もしたい。楽しみですね。

学外の大学生へのメッセージ

柏原■
応用化学専攻は留学生がすごく多いので、すごく刺激的な環境ですね。化学をやりたいなという気持ちがあれば、阪大工学研究科の応用化学専攻というのは、入ったらそれまでの全てが変わるような経験ができるところだと思います。

卒業式の日に宇山研で留学生たちと

斉藤■
正直、ラクして就職するのを希望する人にはあまりおすすめできませんが、ちゃんと研究に打ち込みたいと思っている方にとってはベストです。世界的に有名な先生方が常に研究についてのアドバイスをしてくださるので、素晴らしい環境であることは間違いありません。学会に行っても「○○先生のところの学生さん?」みたいな感じで、肩身の広い思いができますし、他大学の先生方からも気軽に話しかけていただけます。人的ネットワークも広がるので、阪大の応用化学専攻はお薦めです。

柏原・斉藤■
化学好きには本当に楽しいところです!!苦労して入って損はしませんよ!
受験生の皆さんも学部生の皆さんも、頑張ってください。

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