インタビュー

<学部卒業生プチ座談会>
ICT・新事業・大学院、
多様な進路のキーワードは「成長」

大阪大学工学部
応用自然科学科応用化学科目4年
浅井 祐香大西 理花小南 萌(いずれも宇山研)

3月24日は大阪大学工学部の学位記授与式。
式後の慌ただしい雰囲気の中、ICT関連の通信事業、総合エネルギー企業の新規事業、そして大阪大学大学院応用化学専攻と、多様な進路を選んだ学士卒業生3名に駆け足で語っていただきました。

左から小南さん、大西さん、浅井さん

卒業後の進路は?

浅井■
西日本を拠点とした通信事業会社に就職します。インターネットインフラやITソリューションを提供する企業です。
私は3回生の春頃に、卒業後には就職して社会に出たいなと、ぼんやり考えるようになりました。理系ということもあり、大学院進学という選択肢もあったのですが、さまざまな業界の企業でインターンシップ経験を積むうちに、自分自身が本当にやりたいのは大学院での研究よりも、ICTによる新規ビジネスだと確信するようになりました。そして、さまざまな業態へICTを駆使したソリューションを提案することができる通信事業会社に就職することに決めました。

小南■
高校生の頃から4年で大学を卒業して就職しようと決めていたので、多様な業種の企業15社ぐらいを受けて、最終的に電力を中心とした総合エネルギー企業に決めました。非常に歴史のある企業ですが、コーポレートブランドに魅力を感じたわけではなくて、今年初めてできた新規事業部署への採用に魅力を感じたからです。普通の職種ではなくて、新規事業に取り組む部署への配属が確約された採用の一期生になれる。そんなレア感に一番魅力を感じました。歴史ある大企業が新しいコトに挑戦しようとしていて、私のような異端児というか新しいタイプの人材を採用して頑張ろうとしていることを知り、そこに入るのは面白いかもと思ったのです。

大西■
私は大学院に進学して宇山研で研究を続けます。
4回生の1年間、実質的に半年ぐらいしかちゃんと実験ができていないので、あと2年間じっくり研究に取り組んでみようかと思って大学院に進学することにしました。

この4年間で学業以外に一生懸命取り組んだことは?

小南■
3年から短期集中で「長期インターン」のバイトを、めっちゃ頑張りました。普通のバイトよりも社会人寄りというか社員寄りというか責任重めで、具体的には、制作・PR関係の企業が開催するオンライン合同企業説明会への学生集客を任されました。「この何十万人の会員から3万人以上参加させるように!」との指示を説明会の1ヶ月前に受けて、達成に向けて自分でコツコツ取り組むのです。多いときは6件の合同説明会の集客に同時進行で取り組みましたが、学業と両立しながらやっていたので結構苦労した記憶があります。メールを送るだけでは参加してもらえないので、会員にヒアリングしたり友人紹介者にはクーポンを出すとか、上司と相談ながらやっていました。社会を少し知ることになったそんな経験を思い返すと、よく頑張ったなと思えます(笑)。

長期インターン先の旅行会社で、企画運営に奮闘する小南さん

大西■
私は本を読むのが好きで、日本語で読んでいたハリーポッターなんかを英語の原書で読みたいとずっと思っていました。なので、阪大に入ってからは高校まで続けていたバスケットボールはサークルで楽しむぐらいにして、英語に取り組む機会をできるだけ増やしていきました。オーストラリアのシドニーへ短期留学に行ったのは、とてもいい経験でした。私が所属する宇山研は、留学生が日本人より多いぐらいなので、日々英語に接することができるところがとても気に入っています。この4年間で、結構英語に触れることができたかなと思います。

オーストラリアへの短期留学での1コマ(左から3番目が大西さん)

浅井■
私は水泳部のマネージャーを一生懸命やってきました。ずっと高校まで水泳の競技を続けてきたのですが、マネージャーは自分が努力したことが直接結果に繋がらないというのがもどかしくて、つらい思いをすることもありましたが、4回生の8月まで続けてきました。人をサポートすることの難しさや喜びを体感できました。

水泳部マネージャー頑張りました!

卒業論文のテーマは?

大西■
「電気泳動法を用いたポリイオンコンプレックス形成によるハイドロゲルの表面修復」
ハイドロゲルという水を多く含んでいるゼリー状の高分子を研究しました。まずハイドロゲルにプラスの電荷を持った物質を加えて、さらにその表面にマイナスの電荷を持った液体を滴下した状態で電圧をかけます。そうするとプラスとマイナスの電荷を持った物質が結合することで、ポリイオンコンプレックスという層が生成します。それがもとのハイドロゲルより硬いことを利用して、強度を上げたり、傷ついたハイドロゲルの表面を修復したりする研究をしてきました。ハイドロゲルは生体への適応性が高いので、生体材料への応用が期待できるかなと思います。

小南■
「ポリプロピレン/デンプンブレンドの作製と物性評価」
ポリプロピレン(PP)とはタッパーウェアとかに使われている汎用性の高い樹脂ですが、廃棄物が非常に多くて社会問題になっています。PPを完全に無くすことはできないので、なんとかその使用量を減らさないといけない。そんな思いで、PPの20%を環境に優しい物質(植物由来のデンプン)に置き換えた材料の開発に取り組みました。ただし、そのままだと物性が低下してしまうので、混ざりやすくする物質を添加したり、強度を高めるため粉末状の竹繊維を添加したりして、物性を高める研究をしました。

浅井■
「熱可塑性デンプン/生分解性プラスチックブレンドの作製と物性評価 」
最終的な目標は、社会課題となっている海洋ゴミ問題の解決につながるプラスチックを作ることです。いま使われている環境負荷の低いプラスチックには、特定の条件じゃないと分解されなかったり、まだいろいろ課題が残っているのです。そこで私はそのまま海に投げ捨ててもても、微生物によって形が残らず分解されて自然に帰るというところまでいけるプラスチックの開発に取り組みました。将来このデータが海洋ゴミ問題の解決に、少しでも役に立ってくれると嬉しいですね。

今後の抱負を

大西■
私は発表が苦手なんです・・。
でも、せっかく大学院に進学するからには、学会やいろんな場で発表の経験を積んで成長し、苦手感を克服して発表上手になりたいですね。もちろん、研究はこれまで以上に頑張っていきたいと思っています。大学院での研究テーマはまだ決まっていませんが、おそらく引き続きハイドロゲルに関する研究を続けていくと思います。
大学院に進むまで残りわずかですが、旅行に行きたいです。海外に行くのは無理ですけど、国内旅行をしたいですね。

浅井■
私が就職する通信事業会社というのは業態が決められているわけではなくて、ICT技術×食品、ICT技術×金融、というようにいろんな業界と関わることで成り立っています。そんな環境のもと、自分自身のなにが必要とされているか?自分は何に興味を持っているか?この2つの視点を常に意識しながらICTというツールを用いて、新しいものを生み出していきたい。やらなきゃいけないからやるのではなく、自分からやりたいものを掴みにいって、ワクワクしながら仕事をしたいと思います。
今の時代、いろいろなキャリアがあるのが当たり前。スキルを高めて社会人として成長し、常に選択肢が多い状態にしておきたいです。

小南■
私は新卒で就職する企業でずっと働き続けるつもりはなくて、伝統ある企業グループのネームバリューに乗っかりたいとも思っていません。むしろ巨大企業を中から変えてやろうと思っています。外から見られたときに「こういう会社でしょ」というイメージを覆せるような、影響力を持った存在になりたいと思っています。私は新規事業に携わるので、地域も業種も関係ない世界に出ていけます。「あの会社が、こんなこともやってるんだ!」とびっくりされるような仕事をしたいです。そのためにも頑張って成長し続けたいと思います。

応用自然学科のここがいい!

大西■
応用自然科学科では、1年のときに「化学」「物理」「生物」を学んだうえで、2年からはそれぞれの科目に進むシステムになっていて、自分の方向性を決めきれていない受験生にはとても安心だと思います。自分の専門を入学後に決めることができるのが一番いいところですね。

小南■
高校生の頃、私の周りでは理系学部が気になっているのに、「女子だから男子学生ばっかの工学部はやめとこう」「女子だから理系はやめとこう」という声が多かった。でも応用化学科目は女子が割と多いので、いろいろ気にしないで飛び込んだ方がいいことありますよ。実際、化学の実験はとても面白くて楽しめるし、先輩の院生や先生方にも女性研究者として活躍されている方も多くて、いい刺激を受けています。

浅井■
私は高校時代理系のクラスでしたが、文系の友人から理系ってなに勉強しているの?と訊かれたときに、その友人が興味を持っていた化粧品の成分や洗剤の成分について化学の知識を入り交ぜて説明してあげたのです。そうすると、「そうなんだ!面白いね」って言ってもらえて、私自身人の役に立っていることを実感できて、化学っていいなと思うようになりました。なので、大阪大学を受験するときは化学に進もうと決めていました。
応用自然学科のいいところは、入学後に多様な可能性があること。「化学」「物理」「生物」を選べることはもちろん、応用化学科目に進んでからも物理寄りや生物寄りの研究室もあるし、基礎研究から応用技術までいろんな階層の化学に取り組む研究室があります。本当にいろいろな方向に進む可能性があることが、応用自然学科の魅力です。

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