インタビュー

令和4年度大阪大学工業会賞受賞者に聞く①
趣味は「研究」ですが?

応用化学専攻博士後期課程 1年 稲垣 徹哉(鳶巣研)

<大阪大学工業会賞とは>
大阪大学工業会賞は、工学研究科博士前期課程修了予定の大学院生を対象とし、その修士研究の内容が基礎的・応用的側面を問わず、産業界へ貢献するポテンシャルを持ち、社会の発展に大きく貢献すると期待できるものに対して表彰するものです。各専攻から推薦のあった大学院生の中から計13名(うち2名が応用化学専攻)が表彰されました。受賞者には賞状と記念品が送られます。

研究者向きの性格!?

小さい頃から一つのことにグッと集中することがとても好きで、そんな性格が研究者に向いているんだろうなとうっすら感じていました。そんな私が博士後期課程への進学を意識し出したのは高専生の頃。詳しいことは知らなかったのですが、研究者になりたかったのです。博士後期課程に関する具体的な情報は阪大に入学してから調べ始めました。その後、研究をはじめてみたら、自分が本当に研究を大好きなことに気づかされることになりました(笑)。

刺激的だった有機金属化学の授業

学部時代の授業では、有機分子と金属が結合した化学種を扱う「有機金属化学」が凄く面白くて魅力を感じました。それまで学んできた有機化学では、複雑な化合物をつくるには何段階もステップを踏む必要がありましたが、遷移金属触媒を使えば難しい化合物をいとも簡単に合成できると知って、こんな反応を自分もやってみたいと思いました。そんなこともあり、遷移金属触媒を扱っていて、インパクトのある新反応を探索している鳶巣研を選びました。

今の趣味は「研究」です

鳶巣研で修士課程に進んでからは奨学金などの経済的な支援を受けられたこともあり、研究一筋の生活を送ってきました。正直、やらされてる感は全くないです。以前はゲームも結構好きだったのですが、それよりも研究や化学の勉強の方が面白いことがわかってきて、今の私の趣味は「研究」なんです(笑)。

好奇心が強いのか、自分の研究に関することをもっともっと知りたいという気持ちがモチベーションになって、毎日研究活動に打ち込めています。

第68回有機金属化学討論会でポスター賞を受賞(右が稲垣さん)

頑張った成果が大阪大学工業会賞

実は大阪大学工業会賞のことは知らなくて、鳶巣教授から推薦の話をいただいたときに賞の存在を知りました。修士課程の2年間は結構研究を頑張っていたので、その成果がこのようなカタチになったというのは、正直すごく嬉しかったです!

新しい反応の開発に挑戦中

パラジウム触媒を使って、カルベンという物質の新しい発生法の開発とその応用に携わっています。これまで発生法が限定されていたカルベンという物質を、今まで使われていなかった新しい化合物を使って発生させ、前例のない新しい反応への開発に繋げようというアプローチです。未知の反応過程を見つけて、なおかつそのメカニズムの解明にも取り組んでいます。

量子化学計算にも挑戦!

以前に鳶巣研全体の方針として、量子化学計算を用いた反応経路予想に取り組もうということになりました。量子化学計算による反応機構の予想は割と一般的なのですが、鳶巣研には遷移金属が関与する量子化学計算のノウハウが十分ではありませんでした。そんな状況の中、私が量子化学計算を勉強することになったのです。まずは専門家の先生に訊くのが一番だと思い、立教大学の山中先生に教えを乞うたわけですが、私はなんの知見もない素人だったのですごく大変でした(笑)。でも、新しいことを学ぶことは本当に楽しかったです。そのとき苦労して学んだことを、先輩とか後輩とかに引き継いでいるので、今では量子化学計算のノウハウが鳶巣研に定着しています。

学生同士のコミュニケーションが活発な鳶巣研

鳶巣研では学生同士の議論も活発ですね。博士後期課程の学生も修士の学生も一緒になって研究の話を普通にしています。私も自分の実験でわからないことがあれば、先生や先輩だけでなく、後輩にも聞いたりします。学生同士がコミュニケーションをとって助け合っている、いい雰囲気の研究室です。

研究成果を社会へ還元したい

今は修士課程までのテーマを発展させる視点で研究を進めているのですが、割といろんなことがわかってきて、そろそろ新しいテーマにチャレンジする転換期かなと思っています。ゆくゆくは新反応を見つけて、世界をアッと驚かせてみたいですね。 今は科学的好奇心が私の研究モチベーションになっていますが、将来的には研究成果を社会に還元できれば嬉しいので、そんな視点での研究もできたらいいと思っています。

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