インタビュー

令和4年度大阪大学工業会賞受賞者に聞く②
学会を楽しむ!研究室ライフ

応用化学専攻博士後期課程 1年 渡部 太登(正岡研)

<大阪大学工業会賞とは>
大阪大学工業会賞は、工学研究科博士前期課程修了予定の大学院生を対象とし、その修士研究の内容が基礎的・応用的側面を問わず、産業界へ貢献するポテンシャルを持ち、社会の発展に大きく貢献すると期待できるものに対して表彰するものです。各専攻から推薦のあった大学院生の中から計13名(うち2名が応用化学専攻)が表彰されました。受賞者には賞状と記念品が送られます。

工業会賞について

大阪大学工業会賞については、M2の1月ぐらいに正岡教授から「推薦しようか?」とお声がけいただいたときに知りました。それまでは、正直よく知らなかったです。修士課程での研究とか勉強が、賞というカタチで認められたたことは素直に嬉しかったですね。

テニスサークル一色の学部時代

研究室に配属されるまでの学生時代はサークル活動一色でした。JTTというテニスサークルに所属していて、2年の途中から3年の秋までは、サークルの会長を務めていました。

テニスの試合で、いざサーブ!
テニスの試合前挨拶(左端が渡部さん)

特に春合宿や夏合宿がめっちゃ楽しかったですね。人数が多かったのでバスを貸し切って石川県まで合宿に行ったり、新歓コンパも盛大にやったり、大いに楽しんでいました。

テニスサークル合宿(前列中央が渡部さん)
テニスサークル合宿(右から2人目が渡部さん)

サークル活動の費用を捻出するためアルバイトにも精を出して、コンビニ、塾、飲食店などでいろいろ経験させてもらいました。そんなに頑張っていたサークルですが、コロナ禍の影響で活動が滞り、残念ながらもうなくなってしまいました。人数が減るとコート代の負担がとても大きくなってしまって、コート代を捻出できなくなるんです。

研究室での実験は楽しい!

学部4年で正岡研に配属されてからは研究中心の生活に変わりました。私はデスクワークより実験の方が好きなので、研究室で時間があればずっと実験をしている感じです。実験が楽しいと感じるようになったのは研究室に配属されてから。実験手順や生成物が決まってしまっている学部時代の学生実験と違って、研究室でやる実験は失敗する方が多いですが、何ができるかわからないところが楽しいですね。

学会にどんどん参加するのが正岡研スタイル

正岡研はかなり積極的に学会に参加する研究室です。私も学部4年のときから、ずっと大きい学会に参加させていただいています。対面に戻った2022年だけでも、5回参加しました。口頭発表1回とポスター発表が4回でした。

学会会場での渡部さん(右)と後輩の今井さん(左)

学部4年とM1のときも、年3、4回は学会に参加していたのですが、全部オンラインでしたので緊張感はありませんでした。初めての対面発表では緊張しましたが、新鮮な感覚でめっちゃ楽しかったです。ポスター発表では、質疑応答の時間が決まってなくて、興味のある方はポスターの前に立ってずっと質問してくれるんです。自分とは違う観点からの質問が多くて、非常に勉強になりますね。当たり前みたいに思っていることも、よく考えれば不思議が溢れているなと感じました。こんなことは対面ならではの良さだと思います。自分が発表時間じゃないときは、積極的にポスター発表を見て回ります。ポスターの発表は1セミナー60分ぐらいなので、興味あるポスターが4件あれば1件10分程度は聞くことができますね。

研究を続けたい気持ちが強く
博士後期課程進学を決断

博士後期課程へ進学するかどうかに、私は結構悩みました。経済的な不安もありましたから、正直、就活もずっと続けていました。最後の決め手は、まだ研究を続けたいという強い気持ち。正岡先生にも背中を押していただきました。幸い、日本学術振興会特別研究員(DC1)に採用されたので、経済的な不安も無くなりました。これがなかったら進学できなかったかもしれません。

二酸化炭素から有用な分子をつくる

私のテーマは有機合成です。修士論文では市販のイリジウム錯体触媒と再生可能な光エネルギーを使って、二酸化炭素と有機分子から有用な有機分子を1段階でつくる研究を進めてきました。溶媒に2種類の有機分子を溶かしておいてCO2ガスをその中に溶かし込みながら反応させます。反応前にCO2ガスしっかり充填させたら、反応中は常温常圧の密閉容器の中で光を当てます。 今はγ(ガンマ)ケト酸という、2個カルボニル基がついた分子の合成に取り組んでいます。つくろうとしているのは、1位と4位にカルボニル炭素がついている分子。カルボニル炭素の極性的に1-3、1-5、1-7のような奇数の組み合わせだとつくるのは比較的簡単ですが、1-4、1-6みたいな組み合わせだと合成が難しくて、何段階もかけて合成しなければなりませんでした。そんな分子を1段階で選択的に合成しようとしています。このような分子は医薬品や天然物質に見られる骨格を持つので、これを合成できれば、医薬品をつくる行程数を減らすことができ、製造コストの低減や環境性能の向上に貢献できます。この研究はかなりカタチにはなってきており、論文投稿に向けて、官能基で反応が阻害されないか確認している段階です。この有機合成の論文が出れば2報目になります。応用化学専攻博士後期課程の修了要件は論文3報ですが、できればもっとたくさん論文を出したいと思っています。

博士後期課程では多角的に能力を高めたい

博士後期課程では、研究に集中することに加えて、研究マネジメント能力を高めたいと思っています。加えて、海外留学で英語のコミュニケーションやプレゼンの能力も磨くなど、多角的に能力を高めていきたいです。
ちなみに海外留学の期間は3ヶ月から半年の間で、D1の秋から冬にかけて行ければいいなと思っています。正岡教授からは、留学先は自分のやりたい研究に応じて自由に選べば良いと言われてまして、現状の第一候補はスイスです。研究はもちろん全力で取り組みますが、オフの日にスイスの周辺国(イタリアとか)に旅できるのも楽しみなんです。ただ、物価が高いのでちょっと金銭的に不安もあります・・。

学位取得後は社会実装に近いテーマの研究を

博士後期課程修了後は企業か国の研究機関に就職したいと思っていますが、明確なビジョンはまだ描けていません。企業の研究開発部門みたいなところで、社会実装に近いテーマを研究してみたいって気持ちが強いです。

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