受賞・報道

ソフトカプセル廃材から生分解性プラを開発
-ごみを環境素材として蘇らせる新技術-

大阪大学大学院工学研究科の宇山 浩教授らの研究グループとアピ株式会社は、共同でソフトカプセル被膜廃材を活用した生分解性プラスチックを開発しました。

2050年ゼロカーボンを達成するためには、様々な製品の製造工程において大量に発生する産業廃棄物を焼却処分でなく、有効利用することが社会的に強く求められていますが、ゼラチンを主成分とするソフトカプセル被膜は生分解性に優れる一方、熱可塑性が無いためプラスチックとしての利用は検討されていませんでした。

今回、研究グループは、加工処理を施すことでソフトカプセル被膜廃材に熱可塑性を付与し、プラスチックに組込むことに成功しました(図1、特許出願済み)。これにより、生分解性プラスチックとソフトカプセル被膜廃材をブレンドすることが可能となり、海洋生分解性が期待される高性能生分解性プラスチックが開発できました。産業廃棄物の有効利用による生分解性プラスチックの製造により資源循環・脱炭素や海洋ごみ削減への貢献が期待されます。

図1. ソフトカプセル皮膜廃材を組み込んだ高性能生分解性プラスチック

ソフトカプセル被膜にはゼラチンを可塑化させるグリセリンが含まれ、被膜の性質に重要な役割を担っています。この特性に着目し、ソフトカプセル製造時に発生する廃材を加熱処理することで廃材を熱可塑化しました。通常のゼラチン(粉末)は熱可塑性を示しませんが、加熱処理した廃材は単独でシート成形できます(図2)。

図2. ソフトカプセル皮膜廃材からの熱可塑ゼラチンの製造

本研究成果は、廃棄物利用の新しい手法を提供するものであり、ゼロエミッションや資源循環への貢献が期待されます。また、生分解性に優れるソフトカプセル皮膜廃材を活用することで海洋プラスチック問題の解決につながる高性能生分解性プラスチックが開発され、社会実装できれば海ごみの削減への貢献が期待されます。様々な産業分野でコスト面の制約から無造作に廃棄されているものには、簡便な手法で新たな形で再利用できるものが潜在的に多くあり、本成果は廃棄物利用の積極活用に対する社会的要請に応える第一歩に位置付けられると考えられます。

本研究の一部は、大阪大学「大阪湾プラごみゼロを目指す資源循環共創拠点」(国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)【地域共創分野・育成型】/2022 年度採択)の一環として行われました。
http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/coinext/

本研究の詳細はこちら
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2023/20230818_1

宇山研究室webサイト
http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~uyamaken/

宇山浩 教授 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/e9c5e0cc2c83e080.html

アピ株式会社
https://www.api3838.co.jp/

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