高性能なカドミウムフリー量子ドットの開発 ーイメージングとディスプレイ技術に革命をー
応用化学専攻の桑畑進教授、上松助教と名古屋大学工学研究科鳥本司教授らの研究グループは、カドミウムを含まずかつ色鮮やかな量子ドット蛍光体の合成に成功しました。
鮮やかな色を発光できるカドミウム系量子ドットはおよそ20年前に開発されて以降、蛍光色素として細胞・組織のイメージンクや液晶ディスプレイに使用されるようになりました。従来型の無機蛍光体と比較すると色鮮やかさ・色再現性の高さはまさに「一目瞭然」であり、カドミウム系量子ドットの優位性が際立っていましたが、残念ながらその使用が禁止されようとしています。
桑畑進教授、上松助教と鳥本教授らの研究グループは、従来のカドミウム系量子ドットの代替材料として、2008年に世界に先駆けて開発したカドミウムフリー量子ドットの一つである「硫化銀インジウム量子ドット」について、その表面を硫化ガリウムで覆って「コア/シェル構造」と呼ばれる二重構造とすることにより、従来よりも大幅に鮮かな色の発光を得ることに成功しました。
今回の発見によって、カドミウムフリー量子ドットでカドミウム系量子ドットに迫る性能を獲得しました。量子ドット蛍光体ならではの優れた発光特性を、毒性の心配をすることなく享受できるようになり、色鮮やかなディスプレイや照明の実現とともに、蛍光イメージングの分野で生命科学の研究にも貢献することが大いに期待されます。

本研究成果は、英国ネイチャー・パブリッシング・グループの英国科学誌「NPG Asia Materials」に平成30年8月7日 (火)に、以下のタイトルで公開されました。
タイトル:”Narrow band-edge photoluminescence from AgInS2 semiconductor nanoparticles by the formation of amorphous III?VI semiconductor shells”(https://doi.org/10.1038/s41427-018-0067-9)
今後も未来の安全で豊かな暮らしの実現を目指して先端領域の研究に挑む、応用化学専攻の研究者たちの活躍に今後もご期待ください!
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プレスリリース:http://www.eng.osaka-u.ac.jp/ja/dat/news/1534741643_1.pdf
ResOU:http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20180824_2
