有機半導体の高性能化に有望な新規ユニット開発に成功!!
大阪大学産業科学研究所の家裕隆准教授らの研究グループは、石原産業株式会社、ドイツマックスプランク高分子研究所のBlom教授らと共同で、フッ素原子を導入した新規なアクセプターユニット※1の開発に成功し、これが有機薄膜太陽電池※2のn型半導体の構成ユニットとして有望であることを世界で初めて明らかにしました(下図)。

これを含むn型半導体材料の構造、および、太陽電池特性

高性能の有機半導体材料を開発するためには、アクセプターユニットを分子構造の中に組み込むことが不可欠です。下図に示すナフトビスチアジアゾール(NTz)は、強力なアクセプターユニットとして世界的に用いられている分子ですが、そのアクセプター性をさらに高めるためには、フッ素原子の導入が効果的です。しかし、合成が困難であるためフッ素原子の導入は達成できていませんでした。
これに対して、家准教授らの研究グループでは新規な合成ルートを確立し、フッ素原子を含むナフトビスチアジアゾール(FNTz)の合成に初めて成功しました。
さらに、FNTzを組み込んだ有機分子を有機薄膜型太陽電池のn型半導体材料として用いたところ、フッ素を含まない材料より性能が大きく向上することが明らかとなりました。
今回の結果により、有機薄膜太陽電池も含めて様々な有機半導体材料の高性能化に繋がる材料開発が加速的に進展すると期待されます。
本研究成果は、シュプリンガー・ネイチャー「NPG Asia Materials」に、10月17日(水)(日本時間)に公開されました。
詳しくはこちら
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20181017_1
※1 アクセプターユニット
電子密度が低く、電子を受け取りやすいユニット。分子内に電子密度の高いドナーユニットと電子密度の低いアクセプターユニットを組み合わせると、分子内電荷移動型のドナーアクセプター型構造を作ることができます。
※2 有機薄膜太陽電池
p型半導体とn型半導体の有機半導体材料を組み合わせた薄膜を活性層とする太陽電池。