インタビュー

環境負荷&患者の負担を軽減!!徐助教の生体材料開発

応用化学専攻には多くの外国人留学生・研究生が在籍するほか、外国人教員も在籍しています。
今回は2019年7月、宇山研の助教に着任した台湾出身の徐 于懿(シュウ・ユイ)先生を訪ね、研究内容や阪大での暮らしについてお話をお聞きしました。
(以下、徐先生のコメントです)

大学院では細胞の足場材料を研究

私は台湾の大同大学工学部生物工学学科に在籍していたときから、「日本の優れた科学技術を学びたい」という思いを持っており、同大学卒業後に来日し、京都工芸繊維大学大学院(以下、京都工繊)に進学しました。
京都工繊では生体内で分解する生分解性プラスチックであり、カーボンニュートラル特性も併せ持つポリ乳酸※1の研究に取り組んでいました。細胞の分化・誘導を促進し組織を再生させる足場となるための材料、いわゆる足場材料をポリ乳酸で作製していました。
私が扱っていた足場材料は特殊なタイプで、室温では液体、人間の体温ではゲルになる温度応答性を持った生分解性材料で、心筋梗塞の治療への応用を考えていました。心筋梗塞になると心筋細胞が死んでしまいますので、従来の治療法では、開胸手術で心筋細胞の足場材料を入れなければなりませんでした。しかし室温で液体の足場材料があれば、開胸せずに注射で治療でき、患者さんの身体負荷を低減できます。そこで私はポリ乳酸を用いて、室温で注射可能な温度応答性を持つ足場材料を開発していました。

※1 乳酸が長くつながった植物由来の高分子材料

阪大の学生はみんな真面目で研究熱心ですね。

国立循環器病研究センターを経て阪大応用化学専攻へ

京都工繊で博士号を取得した後は、国立循環器病研究センター生体医工学部で博士研究員として勤務し、2019年7月に応用化学専攻に助教として着任しました。宇山研究室については、今は生体材料の研究はされていませんが、環境志向のグリーンケミストリーを中心とした研究テーマがすごく魅力的で、ここでポリ乳酸の特性を生かした生体材料としての応用研究に取り組みたいと考えています。国立循環器病研究センターでの医用材料の分子設計や細胞と動物試験のノウハウでも、研究室のみなさんのお役に立てると思います。
そして、最終的には生体材料の臨床医療への応用が実現できると嬉しいですね。

宇山研のバイオプラスチックとポリ乳酸の組み合わせも試したい

靭帯の代替材料を

私自身スポーツをやっていましたし、友人で靭帯断裂をした人もいるので、そういう怪我の治療に役立つ生体材料をつくれたらいいなと思っています。具体的には靭帯の代替材料を開発したい。 理想的には、代替材料が劣化して生体内で分解・吸収されるのと並行して、生体の力で自己修復が進み、最終的には代替材料が全て消えて元の靭帯に戻っているようなイメージです。
夢のような話なのですが、靭帯にはその可能性があります。というのも、靭帯はコラーゲンからできていますが、その由来は骨にあるからです。骨の中から靭帯の繊維が生えてくるような感じで、骨の細胞の一部が靭帯に成長してくれるのです。
注射器で注入するだけで骨をうまく繋げることができて、そのうち自然に吸収されて消えてしまう、そんな生体材料を開発したいですね。今はまだ、夢の材料です(笑)。

台湾での学生時代はバレーボールのブロッカーでした

多様な研究者が揃うのが阪大工学部の魅力

阪大工学部は規模が大きくて多様な分野の研究者が在籍しているので、異分野の研究者と連携できるところが一番素晴らしいと思います。実際に他分野の研究者の話を聞く機会も多く、新しい発想が湧いてくるんじゃないかと期待しています。
例えば7月末には吹田キャンパス内で「もったいない工学フォーラム」が開催されたのですが、工学部の材料系や電気系に加えて企業からの研究者とも話をすることができました。みんな異分野の研究者の話をヒントに発想し、連携することで、より高度な材料や技術を生み出そうとしています。
私も多様な分野の研究者に囲まれた環境をうまく生かしながら、環境に優しい材料や医療に貢献できる生体材料を開発して、広く社会に貢献していきたいと願っています。

吹田キャンパスはのんびりしていて、とても気に入っています。
みんな大阪は暑い暑いと言っていますが、
台湾よりカラッとして気持ちいいですよ

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