研究トピックス

世界初、高い生着率の血管付きミニ乳房を再構築 !

これまで乳がん摘出後の乳房再建術では、シリコン製のインプラントを用いた再建が主流でした。しかし、日本の健康保険で唯一認可されていたアラガン社製のインプラントが2019年7月24日に世界中で販売停止、自主回収となり、一般社団法人日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会が緊急声明を出すという事態になっています。
現在は代替となる旧型のインプラントが一部利用できるようになりましたが、破損や波うち変形、被覆拘縮等の合併症を引き起こすリスクが不安視されています。また、患者自身の脂肪細胞を採取して注入する自家組織再建術も行われていますが、その生着率は患者背景でバラツキがあり課題になっています。さらに、移植するたびに患者に負担が生じるという問題を抱えていました。

今回、松崎典弥教授および、凸版印刷株式会社(先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座※1のFiona Louis(フィオナルイス)特任研究員、京都府立医科大学大学院医学研究科形成外科の素輪善弘講師の研究グループは、細胞と同じマイクロメートルレベルの足場材料を細胞と一緒に培地に分散し、遠心分離により沈殿させて培養する独自の組織工学技術により、患者自身の細胞を用いて機能的な血管構造を有するミニサイズの乳房の再構築に世界で初めて成功し、小動物への移植実験で高い生着率を示すことを確認しました。
本研究成果は、従来の脂肪細胞注入法や販売停止となったインプラントに代わる、高い安全性と生着率を有する新しい乳房再生医療技術となることが期待され、今後、実用化を目指して研究が進められます。

本研究は、JST未来社会創造事業※2で得られた成果を応用して行われました。
本研究の成果は、2020年3月12~14日にパシフィコ横浜で開催される第19回日本再生医療学会総会にて発表する予定です。

※1 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
大阪大学と凸版印刷は、「先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座」を2017年に設置し、3D細胞培養技術に関する基礎研究を同研究科松崎典弥教授と共同で行っています。

※2 JST未来社会創造事業
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)は、平成29年度より、社会・産業ニーズを踏まえ、経済・社会的にインパクトのあるターゲット(出口)を明確に見据えた技術的にチャレンジングな目標を設定し、実用化が可能かどうか見極められる段階を目指した研究開発を実施する事業として未来社会創造事業を開始しました。
https://www.jst.go.jp/mirai/jp/index.html

図 血管付きミニ乳房作製イメージと移植3ヶ月後に摘出したミニ乳房集合体の写真

本研究の詳細はこちら
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20200130_1

日経新聞電子版の記事はこちら
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP527997_Q0A130C2000000/

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