研究トピックス

3Dプリントで和牛の“サシ”まで再現可能に!~金太郎飴技術のテーラーメイド生産でタンパク質危機を救う~

大阪大学大学院工学研究科の松崎典弥教授、Dong-hee Kang(ドンヒー カン)特任研究員(常勤)、大学院生のHao Liu(ハオ リュウ)さん(博士前期課程)、凸版印刷株式会社(大阪大学大学院工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座)の北野史朗招へい准教授、入江新司招へい准教授、Fiona Louis(フィオナ ルイス)特任助教(常勤)、弘前大学大学院医学研究科の下田 浩教授、日本ハム株式会社中央研究所の西山泰孝研究員、キリンホールディングス株式会社キリン中央研究所の野澤 元主任研究員、柿谷 誠研究員、株式会社リコー・リコーフューチャーズBUバイオメディカル事業部の高木大輔研究員、リコージャパン株式会社PP事業部の笠 大治郎グループリーダ、大阪工業大学工学部生命工学科の長森英二准教授の研究グループは、和牛肉の複雑な組織構造を自在に再現可能な「3Dプリント金太郎飴技術」を開発することで、筋・脂肪・血管の線維組織で構成された和牛培養肉の構築に世界で初めて成功しました。

これまで報告されている培養肉のほとんどは筋線維のみで構成されるミンチ用の肉であり、肉の複雑な組織構造を再現することは困難でした。

今回、松崎教授らの研究グループは、筋・脂肪・血管という異なる線維組織を3Dプリントで作製し、それを金太郎飴のように統合して肉の複雑な構造を再現する「3Dプリント金太郎飴技術」を開発しました。これにより、肉の複雑な組織構造をテーラーメイドで構築できるようになりました。和牛の美しい“サシ”など複雑な肉の構造を再現できるだけでなく、脂肪や筋成分の微妙な調節ができるようになると期待されます。

今後、3Dプリント以外の細胞の培養プロセスも含めた自動装置を開発できれば、場所を問わず、より持続可能な培養肉の作製が可能となり、SDGsへの大きな貢献が期待されます。

図 3Dプリント金太郎飴技術による和牛培養ステーキ肉の作製

本研究成果は、英国科学誌Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)に掲載されました。

タイトル:“Engineered Whole Cut Meat-like Tissue by the Assembly of Cell Fibers using Tendon-Gel Integrated Bioprinting”
著者名: Dong-hee Kang, Fiona Louis, Hao Liu, Hiroshi Shimoda, Yasutaka Nishiyama, Hajime Nozawa, Makoto Kakitani, Daisuke Takagi, Daijiro Kasa, Eiji Nagamori, Shinji Irie, Shiro Kitano and Michiya Matsusaki
URL: https://doi.org/10.1038/s41467-021-25236-9

なお、本研究は、JST未来社会創造事業の「持続可能な社会の実現」領域 探索研究「組織工学技術を応用した世界一安全な食肉の自動生産技術の研究開発」の一環として行われました。

※ 先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
大阪大学大学院工学研究科と凸版印刷は、大阪大学大学院工学研究科に「先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座」を2017年に設置し、3D細胞培養技術に関する基礎研究を同研究科の松崎典弥教授と共同で行っています。

本研究の詳細はこちら
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210824-2/index.html

松崎研究室
http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~matsusaki-lab/

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