研究トピックス

\型破りなデザインで技術革新/ハリセンボン型で高活性!
カルボランを使った新規ハロゲン化触媒を開発

応用化学専攻の平野康次 教授、西井祐二 准教授、大学院生の奥陸人さん(研究当時)、大学院生の中村彰太郎さんと大阪大学先導的学際研究機構の三浦雅博 特任教授、コナチャンドラバブナイドゥ 特任研究員(常勤) (研究当時)らの研究グループは、有機ハロゲン化合物の合成において優れた活性を持つ有機分子触媒の開発に成功しました。

有機ハロゲン化合物は、医薬品・液晶・有機ELといった多様な機能性分子の設計や製造に欠かすことの出来ない分子パーツとして幅広く利用されています。従来の有機ハロゲン化合物の製造法(ハロゲン化反応)では、医薬品などの「繊細」な分子への適用性が低く、また選択性を制御した「精密」な反応も難しいといった課題がありました。 今回、ホウ素クラスター分子であるカルボランの性質に着目し、高い活性と選択性を両立した、新規ハロゲン化触媒を開発しました(図)

カルボランは12個の頂点からなる正二十面体構造を持っており、どの頂点で結合するかによって、結合した分子の特性が変化するという特異な性質を示します。本研究では、活性点として硫黄(S)を含む有機分子触媒を新たに設計し、合成しました。特に、カルボラン表面に8個のメチル基を導入したハリセンボン型の触媒が、最も高い活性を示すことが明らかとなりました。

有機ハロゲン化合物は現代の化学産業を支える重要なビルディングブロックとなっているため、本研究成果により機能性分子の短工程合成が実現されれば、コストダウンやスケールアップに貢献することが期待できます。また、ナノカーボン分野において、従来法では困難であったビルディングブロックの提供を可能とし、新たな機能性分子を開拓するための強力なツールとしての活用が期待されます。学術的な観点においても、様々な化学反応への応用の可能性があります。

本研究成果は、11月7日(火)1時(日本時間)にCell Pressが発刊する科学誌「Chem」にオンライン掲載されました。

掲載誌:Chem
論文タイトル:“Aromatic Halogenation Using Carborane Catalyst”
著者名:Chandrababu Naidu Kona, Rikuto Oku, Shotaro Nakamura, Masahiro Miura, Koji Hirano, and Yuji Nishii
DOI:https://doi.org/10.1016/j.chempr.2023.10.006

なお、本研究は、JST創発的研究支援事業(JPMJFR2220)、NEDO官民による若手研究者発掘支援事業(JPNP20004)、日本学術振興会科学研究費(JP21K14627, JP23H01960, JP17H06092)および大阪大学・先導的学際研究機構(ICS-OTRI)の一環として行われました。

本研究の詳細はこちら
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2023/20231122_1

西井祐二准教授 Researchmap
https://researchmap.jp/y_nishii

大阪大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 平野研究室
https://www-chem.eng.osaka-u.ac.jp/hirano-lab/

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