インタビュー

「化学とサッカー!一石二鳥ドイツ留学記」

大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻
松崎研 博士後期課程2年 富岡大祐さん 
留学先:ドイツ アーヘン工科大学(Prof. Pich)
留学期間:2023年9月中旬〜2023年12月上旬

アーヘン工科大学との学術交流の一環でドイツ留学

応用化学専攻はドイツのアーヘン工科大学化学専攻と学生を交流させる取り組みを、林教授が中心となって何年間か続けています。その取り組みを松崎先生から紹介いただいたことがきっかけで、私は2023年9月中旬から12月上旬まで約3ヶ月間、アーヘン工科大学のPich(ピッヒ)教授の元に留学しました。

松崎研では細胞に酸素を供給する生体材料を研究

留学前には、細胞や組織に酸素を供給する生体材料を研究していました。近年、疾患部位に組織を移植する新しい治療法として再生医療が注目されていますが、これまで生体外では厚さ200μmほどの組織しかつくれていませんでした。組織を厚くすると中の細胞にまで酸素を届けることができなかったことが原因の一つのでした。この課題を解決するために、私は水と反応して酸素を発生させる無機化合物に着目して研究を進めています。

今後は動物実験にも挑戦したい

この無機化合物の水との反応を制御したり、有害な活性酸素を取り除くような物質を加えたり、いろいろ工夫を凝らしながら、今は厚さ500μm〜1mmぐらいの組織をつくれるようになったので、今後は動物実験にも挑戦したいと思っています。

事前のディスカッションのおかげで留学先での実験もスムーズ

留学先のピッヒ先生のラボでは、マイクロ流路という特殊な装置を利用して、すごく小さいサイズのゲル(ポリマー由来)をつくることができます。この小さいゲルをつくる技術と、松崎研の酸素を発生させる技術を融合させて、新しい生体材料に関する共同研究を進める布石として私は留学しました。具体的には、マイクロ流路を利用して、直径が100μmぐらいのゲル粒子に酸素を発生させる無機化合物を入れておいて、それを厚さ数mmぐらいの組織に入れて内部から酸素を供給させようとしました。留学前からディスカッションやプレ実験を重ねて、方向性に目星をつけていたこともあって、結構スムーズに実験を進めることができました。

ピッヒラボでのデスクワーク

事前のディスカッションで、留学先のマイクロ流路に我々の数十μmサイズの無機化合物の粒子を入れると詰まりそうだとわかったので、そこで、ナノメートルレベルまで粒径を下げようとしたのですが、これがなかなか難しい。ようやくナノ粒子ができたのが留学1ヶ月前。ギリギリまで苦労したナノ粒子を実際アーヘンで使ったら、詰まることなく流れたので本当にホッとしました。この成果は博士論文にもぜひとも入れたいと思ってます。

多くの博士課程学生が切磋琢磨する環境のピッヒラボ

留学先では修士課程を卒業したら9割方の学生が博士課程に進むらしく、博士課程の学生がとても多かったです。学生たちはみんなモチベーションが高くて、お互い切磋琢磨している雰囲気がすごくいいなと感じました。松崎先生が、「海外では博士課程に進むのが当たり前」とおっしゃっていたことを、本当に実感しました。
アーヘン工科大学の修士課程では、3ヶ所ぐらいの研究室で数ヶ月単位で多様な研究を経験したうえで、自分の方向性を決めて、博士課程に進んでからテーマを絞って研究を進めるというスタイルらしいです。なので、修士卒の場合は、「まだ自分の研究をしていない」みたいな扱いになるようです。

カフェスペースは交流の場

ラボでは朝の8時から実験をはじめて、ランチの時間になると、みんなと学食に行って一緒に食べて、その後、1階の広いカフェスペースでコーヒーブレークです。結構みんなと話す時間が長くて、食事中もコーヒーを飲んでいるときも、ずっと喋ってました。英語については、留学生の多い松崎研でよく使っていたので、さほど困ることなくコミュニケーションはとれました。 1日の実験の終わりは結構早くて、基本的に17時で実験終了。その後はデータ解析などのデスクワークをする生活でした。

研究所外観

ラボの外ではみんなで「1mビール」

1mビール

研究室を出たら、食事も兼ねてよく飲みにいきました。ドイツはやっぱりビールです。「1m(ワンメーター)ビール」というメニューがあって、長いラックにグラスが10個ぐらい並んでる。グループでお店に入ると、1人ずつビールを頼むのではなくて「ワンメーター1つ」と頼むんです。それをみんなでワーッと飲んでしまうと「ワンメーターおかわり!!」って続いていきます。ドイツでは地域ごとにビールがあるので、種類が多く、値段も安くて嬉しかったです。ホームパーティにもよく呼んでいただきました。そんなときは大きなビール樽を買ってきて、その樽の蛇口からビールを注いでどんどん飲んじゃう。これを見たとき、「めっちゃドイツやな!!」と感じました(笑)。

アーヘンでは新鮮な豚肉ミンチを生で食べる習慣があるんです。ちょっと怖かったですが、食べたら意外に美味しかったですね(笑)。

生の豚肉ミンチにチャレンジ

本場でのサッカー修行!?

留学先の研究所にはサッカーチームがあって、ピッヒ教授もそのチームのメンバーでした。私が自己紹介で「サッカーが好きだ」と話したら、「研究所のチームに来いよ!」と誘っていただいて、毎週水曜日はそのチームでサッカーを楽しんでいました。身長2m越えの選手とヘディングで競ったり、天然芝のグラウンドで毎週プレーできたり、楽しかったですね。他チームとの試合にも出してもらえて、これは自慢ですが、私の2得点で勝ちました!ピッヒ教授も意外と上手かったです(笑)。

チームメイトと一緒に(後列左から三人目がピッヒ教授)
天然芝のサッカーグラウンド

サッカーのメンバーとも仲良くなって、アーヘンから1時間ぐらいのところにある、ボルシアMGというチームの試合の観戦にも行きました。事前にチームの応援歌(ドイツ語)を覚えて、試合前にみんなで起立して唄ったときは、スタジアム全体が一体感に包まれて本当に感動しました。試合中もチームのユニフォームを着て、マフラーを振り回しながら、完全ホームの雰囲気の中で応援していました。あの瞬間が、今回の留学で一番うれしい時間だったような気がします(笑)。

みんなが切磋琢磨できる雰囲気づくり

私は留学先での、学生たちが積極的にディスカッションして切磋琢磨する環境を素晴らしいと感じました。なので、松崎研でも日本人か留学生とか関係なく、みんなが積極的にコミュニケーションをとって切磋琢磨していけるような環境づくり、雰囲気づくりに貢献していきたいと思っています。もちろん、自分の研究もきっちりと気合を入れて進めていきます。

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